実践植物教室レポート1


「海辺の有用植物@三浦半島」2017.6.10~11

 

2017年6月10日(土)~11日(日)第1回目の実践植物教室「海辺の有用植物@三浦半島」を開講いたしました。

当日は天候にも恵まれ、11名の方にご参加いただき、大海先生より海辺の有用植物について楽しく学ぶことができました。

【Schedule】

6/10(土)

10:00 京浜急行「三浦海岸駅」集合 →バスで松輪へ、宿に荷物を置き身支度→剱崎へ

10:30~三浦岩礁の道を松輪漁港方面へ歩きながら、海岸の有用植物を観察・採取

(12:00頃 海岸でお昼)

15:00 1日参加の方は剣崎で解散(バスで三浦海岸駅へ)

宿泊の方は船宿「松盛荘」へ

夜は大海先生が作られた貴重な”薬酒”の試飲会、交流会♪

 

6/11(日)

10:00 宿泊地より剣崎バス停→バスにて毘沙門入り口へ

10:30~毘沙門湾周辺の有用植物を観察・採取(12:00頃 毘沙門茶屋にて地魚炉端焼きのお昼)→盗人狩→宮川湾へ

15:00 宮川橋バス停より三浦海岸駅へ 解散

 


【Location】

三浦岩礁の道

神奈川県三浦市南下浦町

 


【Report】

■今回のフィールド三浦岩礁の道は、三浦半島先端部の海岸沿いを歩くコースで、浦賀水道や房総半島を眺めながら磯遊びも楽しめます。

植生も豊かで様々な海辺の植物を見つけ、観察することができました。

 

※海辺の植物詳細については、下記【Seaside plants】をご覧下さい


■女性に嬉しい女貞子の原料 ”ネズミモチ” は今が花盛り、また ”テリハノイバラ” は白く可憐な5輪の花が満開です。ネズミモチは、秋~冬に実が黒熟し、実・枝・葉を使った女貞子エキスを作ることができます。
ボタンボウフウ” (長命草)は、若芽の茎が甘く爽やかで、歩きながら囓ると疲れが取れるようでした。


滅多にお目にかかれない ”クコ” の根(皮は地骨皮)や、アトピーや美肌効果のある海藻 ”カジメ” と ”アラメ” の違い、またその使い方も分かりやすく教えていただきました。
やっと見つけた ”カジイチゴ” の黄色い一粒をみんなで分け合いましたが、甘く美味しくてびっくり…
海のヒジキはもう硬くなっていましたが、”オカヒジキ” は帰宅後お浸しにするとシャキシャキでみずみずしく、とても美味しく頂く事ができました。

 


夜は宿泊先の船宿で沢山の魚料理や、大海先生の審美眼で摘んだ ”アシタバ” と ”ツルナ” のおひたし、また薬酒の試飲会も行いました。
蓬莱仙人自作の貴重な薬酒、集中力が高まる ”カラハナソウ酒”、滋養強壮の甘い ”ヤマブドウ酒” 、管理人作  ”白梅つぼみの香り酒” 、プラム酒の様な甘酸っぱい ”クサボケ&黒糖酒” などを楽しむことができました。
一番は大海先生による全国各地、珍しい食や植物に関する興味深いお話しで、夜遅くまで話は尽きませんでした。

 


■2日目も引き続き海辺の有用植物観察。少し歩き疲れた頃、毘沙門茶屋にて地魚の炉端焼きのお昼。数時間、じっくり手間をかけて作られたアジの塩焼きは身がふっくらとしてやわらかく、とても美味でした。


■毘沙門湾周辺は不思議な形の岩や、さざ波のような岩礁が見られ、見飽きることがありません。

途中、透明度の高い潮だまりではエビやカニ、貝、海藻など様々な生き物にも出会いました。

 

この2日間で見つけた海辺の植物は20種類以上、詳細は下記をご覧ください。


【Seaside plants】

アカメガシワ(雌花)

トウダイグサ科アカメガシワ属

雌雄異種。3〜4月の若芽を摘む。6〜7月に花をつける。若芽は塩ひとつまみ加えた熱湯で茹で、長めにアクを抜く。葉は防腐効果があり、食物を包んだり、食器としても利用できるため別名サイモリバとも言われる

 

サルトリイバラ(別名 山帰来)

ユリ科シオデ属

西日本では柏葉の代わりに餅を包み、山帰来餅と呼ばれている。茎には棘がある。

若芽・若葉を塩一つまみ加えた熱湯で茹で、冷水にさらし、おひたしや和え物に。

根茎は土茯苓として利尿、解熱、下痢止めなどに利用

 

ソメイヨシノ(実)

バラ科サクラ属

6〜7月に黒く熟した果実を水洗いし、水気を切る。一升につき両手一杯程度の熟果に氷砂糖大さじ3、ホワイトリカーを加え冷暗所で3〜4ヶ月熟成させる。中身はそのまま漬け置いてよい。赤紫色の綺麗で美味しい酒ができる

 

ネズミモチ(花)

モクセイ科イボタノキ属

6月ごろ白い花を咲かせた後、実は11月〜2月に黒紫に熟す。果実酒または煎液を煮詰めエキス剤に。女貞子と言い、肝・腎を補う。滋養強壮、新陳代謝促進、腰膝強化、白髪、視力低下などに利用

 

イソギク

キク科キク属

葉の裏面が綿毛に被われ、葉の緑が白くみえる。香りが強いため、食用だけでなく浴湯料や薬茶にも向いている

 

テリハノイバラ(花)

バラ科バラ属

日当たりの良い山野や海辺、丘陵に自生する。葉は光沢があり、地面を這うように成長する。5~6月に5弁の白い花が咲き、9~10月に赤い偽果ができる。赤くなる寸前に採取し、日干ししたものを生薬で営実という。利尿及び下剤として強い作用があるため注意が必要

 


クコ(根)

ナス科クコ属

4~6月に若芽を摘み、塩ひとつまみ加えた熱湯で茹で冷水にさらし、おひたし和えもの、生は天ぷらに。10~12月に赤い実がなる。実は乾燥させてから利用する。実の枸杞子は肝・腎・血を補い滋養強壮等に、根の皮は地骨皮で清熱涼血に、葉は枸杞葉で強壮強精等に利用される

 

エビヅル

ブドウ科ブドウ属

9~10月に紫黒色の実がつく。生食のほか、ジャムやジュース、シロップなどに利用

 

ラセイタソウ

イラクサ科カラムシ属

葉は縮緬状で厚みがある

 

カジメ

コンブ目Lessoniaceae科カジメ属

茎部は分岐していない。ヨード、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、フッ素等のミネラルやビタミンが豊富で、入浴剤として利用すると、肩こり、アトピーや美肌に効果がある。

生の場合はよく洗って3〜4本を小さく切り、ネット等に入れてそのまま浴槽へ。乾燥させたものは一度煮出した煎液を利用

 

アラメ

コンブ目Lessoniaceae科アラメ属

茎部が分岐している。カジメ同様、入浴剤としても利用できる

 

テングサ

紅藻類テングサ科

寒天の原料

 


ハマゴウ

クマツヅラ科ハマゴウ属

葉は広楕円形で対生。7~9月に紫色の唇形花をつける。11~12月に黒熟果をつける。これを乾燥させたものは、漢方薬の蔓荊子で、風邪や頭痛、関節痛、目の充血など疎散風熱に用いられる

 

ハマナデシコ

ナデシコ科ナデシコ属

6〜11月に紅紫色の花を咲かせる

葉は厚みと照りがある

 

イヌビワ(実)

クワ科イチジク属

3~6月の若芽・若葉を塩一つまみ加えた熱湯で茹で、冷水にさらす。ココナッツの様な香り。8~11月になる実も食用できる

 

オカヒジキ

アカザ科オカヒジキ属

若葉と茎を茹でおひたしなどに。アクがなくシャキシャキして瑞々しい。7〜9月、葉のわきに花弁のない淡緑色の花をつける

 

ハマアカザ

アカザ科ハマアカザ属

4~6月に若葉を摘み、塩一つまみ加えた熱湯で茹で、ややアクがあるため少し長めに冷水にさらす。おひたしや和えものなどに

 

ハマウド

セリ科シシウド属

アシタバに似ているが食用にはしない。

茎を切るとハマウドは白い液が、アシタバは黄色い液が出るため判別できる

 


ハマゼリ

セリ科ハマゼリ属

この時期はまだ小さいが、若葉と茎を食用に。8〜9月、茎先に白い5弁花を多くつける。この根茎を湯通しし、乾燥させたものを漢方では川芎と言い、理血、鎮静、鎮痛、補血、強壮等に用いる。血の巡りを良くして身体を温め、保湿効果もあり、香りも良いので、入浴剤としても利用できる

 

ボタンボウフウ(長命草)

セリ科カワラボウフウ属

V.A、B2、B6、C、E、カロチン、ポリフェノール、カルシウム、鉄等が豊富。セリ科特有の強い芳香があり、沖縄ではヤギ汁など癖の強いものと一緒に調理される。根は洗って輪切りにしたものを数日乾燥させ、薬酒・薬茶等に利用

 

アシタバ

セリ科シシウド属

抗菌、抗酸化作用、βカロテン等ビタミン、ミネラルが豊富。新芽・ツヤのある若葉は苦みやくせもなく美味。おひたし、白和え、天ぷら等に。また薬酒・薬茶・浴湯料としても利用

 

ツルナ

ツルナ科ツルナ属

別名ニュージーランドホウレンソウ。通年採取でき、先端より下の大きな葉が美味。アクがほとんどないため、さっと熱湯にくぐらせ調理するか、炒め物ならそのまま利用できる。生の場合少し塩味がある。

全草を良く洗い、日干ししたものを漢方では蕃杏と言い、それを煎じて胃潰瘍、胃酸過多、胃腸カタル等に用いる

 

ハマエンドウ(実)

マメ科レンリソウ属

4〜7月、葉のわきから総状花序を伸ばし、紫の蝶形花を3〜6個ずつつける。

若芽と花を食用するほか、園芸用として観賞する